ADR-0026 手札を持ち越し制にする
| 状態 | accepted |
| 決定日 | 2026-08-26 |
| 区分 | ゲームデザイン |
死語
この ADR は 2026-08-26 時点の語彙で書かれている。 現行の定義は 用語集 にある。
本 ADR が「手札」の意味を変えている。 背景で言及している「毎ターン手札を全て捨てて規定枚数まで補充する方式」が旧仕様であり、いまの手札はターンをまたいで残る。 あわせて引き直しが新設された。
背景
毎ターン手札を全て捨てて規定枚数まで補充する方式では、使い切ることが常に得になる。使わなかったページは失われるからである。
これは歩と噛み合わない。歩を余らせないために出したくないページまで出すことになり、刻が意図しない位置へ動く。 ADR-0025 で刻の位置が次ターンに出せるページを決めるようにした以上、意図しない移動は最も避けたい事故である。
「使い切りが得」は、資源が使い切りであること自体ではなく、選択肢が毎ターン強制的に入れ替わることから来ている。
決定
- ターン終了時、手札は捨て札へ送られない。そのまま残る
- 毎ターン固定枚数をドローする(規定枚数まで補充する方式ではない)
- 手札上限があり、上限に達しているときはドローが発生しない
- 捨て札へ送られるのはプレイされたページのみ
- 山札が尽きたら、捨て札をシャッフルして新しい山札とする
温存の代償は「新しいページが来ないこと」である。 抱え込むほど山札が消化されず、手札は固定されていく。
手札が固まったときの引き直し
持ち越し制には、手札が「いまの刻では1枚も出せないページ」で埋まると自力で抜け出せないという穴がある。
刻 50 / 手札7枚が全部「未来面のみ・銘 < 50」
→ 全部が過去面判定 → 白紙 → 出せない
→ 刻を動かせない → 永久に出せない
→ 手札上限でドローも止まっている
そこで引き直しを置く。
- ターン開始時、プレイ可能なページが手札に1枚もない場合、手札を全て捨て札へ送り、ステージ開始時の枚数だけ引き直す
- 1ターンにつき1回まで。 引き直した結果それでも出せる札がなければ、繰り返さない
- 引き直してもなお出せる札がないとき、そのターンはページをプレイできない。ステージ内特殊操作(ペン・破る)は使える
最後の抵抗はペンである。 白紙の面に書き込めばそのページはプレイ可能になり、生き延びられる。それもできずにターン終了を宣言した時点で敗北が確定する。「記憶を書き換えて生き延びる」が、文字どおり最後の手段になる。
却下した案
| 案 | 却下理由 |
|---|---|
| 上限を超えたぶんをターン終了時に捨てる | 循環は回るが、「上限ぴったりまで使うのが得」という形で使い切りの強制が弱く復活する。持ち越しの意味が薄まる |
| 手札上限を設けない | 抱え放題になり、山札が枯れて選択肢が固定される。極端には手札が全ページになり、デッキという概念が消える |
| 毎ターン規定枚数まで補充する(現行) | 温存が成立せず、この決定の目的を達成しない |
| 上限に達してもドローし、そのターンは手札から必ず1枚出す | 使い切りの強制をルールとして明文化することになる。「出したくないページを出させられる」という元の問題がそのまま残る |
| 引き直しを置かず、固まったら即敗北にする | 手札が固まる原因はプレイヤー自身の刻の置き方なので理不尽ではないが、リカバリーの窓が「ステージ1回のペン」しかない。 事故として重すぎる |
| 引き直しを毎ターン何度でも許す | 出せる札が出るまで引き直せるため、手札を固めることの代償が消える。温存の代償という決定の柱そのものを壊す |
| 引き直しの代わりに、手札上限に達していてもドローを続ける | 抱え込むほど手札が増えるだけになり、上限を置いた意味がなくなる |
影響
- 敗北条件が変わった。 「ドローフェイズで山札・捨て札・手札の全てが空になる」は、手札が空にならなくなったため発生しない。**「引き直しを経てもプレイ可能なページが1枚もない」**に置き換えた
- 引き運の分散が下がった。 デッキに入れたページはいつか必ず手札に来て、来たら消えない。デッキビルドの結果が読みやすくなり、面白さの核1に直結する
- 山札の循環が遅くなった。 捨て札へ行くのはプレイしたページだけであるため、抱え込むと山札が減らない。デッキ枚数・ドロー枚数・手札上限の3つの関係が バランス の新しい要点になった
- 跨ぎ回数の上限が、歩だけでは決まらなくなった。 座を挟んで交互に並ぶページが手札に何枚あるかが効くため、ドローを増やすページ効果(「手繰り」)が跨ぎ回数を直接押し上げる。 手札上限は硬い天井ではなく、ドロー供給とあわせて効く軟らかい制約である
- ステージ開始時の手札枚数を定義する必要が生じた(従来は「規定枚数まで補充」で暗黙に決まっていた)。引き直しの枚数もこれと同じ値を使う
- 「このターン既に引き直したか」をセーブ対象に加える必要が生じた(データの契約)