ADR-0024 敵を数直線上の一点にし、Intentを跨いで削る
| 状態 | accepted |
| 決定日 | 2026-08-26 |
| 区分 | ゲームデザイン |
| 置き換え元 | ADR-0002(superseded) |
死語
この ADR は 2026-08-26 時点の語彙で書かれている。 本文の次の語は、いま通じないか別の意味になっている。現行の定義は 用語集 にある。
| 本文中の語 | この ADR での意味 | 現在 |
|---|---|---|
| 間合い・帯 | 敵が毎ターン宣言する刻の区間。幅を持ち、通過判定・被弾量・白紙化の3つを担った。本 ADR がこれを一点へ置き換えた | 廃止 → 座 |
| 軽減率 | 帯の内外で被弾量を割り引く係数 | 廃止。防御は座からの距離で決まる |
| 振り子 | 守るには先に未来へ登る必要があることから生まれるリズム。当時の柱3。本 ADR がこれを失わせた | 廃止。番号は欠番のまま残る |
| 軌跡 | 1ターン中に刻が通った経路 | 廃止(ADR-0023) |
| 白紙化 | 敵がページを白紙ページへ変える攻撃 | 廃止(ADR-0028) |
| 手札 | ターン終了時に全て捨て、毎ターン規定枚数まで補充された | ターンをまたいで残る(ADR-0026) |
本 ADR が「予兆」「防御」「エスカレーション」の意味を変えている。 これらは現行の意味(Intent の予告/|刻 − 座|/Intent の個数が増える)で読んでよい。
背景
ADR-0002 の帯は、3つの判定を1つの装置に担わせていた。
- 軌跡が通過したか(=斬れるか)
- ターン終了時の刻が内側か外側か(=被弾量)
- 帯に属する銘のページを白紙化する
このうち2つが消える。 白紙化は廃止され(ADR-0028)、被弾量は「内か外か」の離散判定ではなく敵からの距離という連続量で決まるようになる。残るのは通過判定だけであり、そのために区間の幅を持つ必要がない。
帯は軌跡を塞ぐ壁でもあったが、軌跡制約が廃止された(ADR-0023)。
決定
敵は数直線上の一点に存在する。この点を「座(ざ)」と呼ぶ。
- 敵は毎ターン、予兆として Intent を複数個提示する。Intent 1個が攻撃1回にあたる
- プレイヤーが敵の座を1回跨ぐたびに、Intent が1個消える
- ターン終了時、
|刻 − 座|に比例した防御を得る。方向は関係ない - エスカレーションは攻撃力ではなく Intent の個数を増やす
- 敵に与えるダメージはページの効果に従い、跨いだかどうかとは無関係に発動する
斬るのはページ。跨ぎが消すのは、敵の手のほうである。
跨ぎは攻撃の発動条件ではない。 座を一度も跨がないターンでも、未来面の攻撃効果は通常どおり敵に入る。跨ぎが持つ意味は Intent を消すこと、すなわち守りだけである。
これにより、1本の歩を3つの用途が奪い合う。
| 歩の使い道 | 得るもの |
|---|---|
| 移動量を大きく取る | 攻撃(遠射 など移動量に比例する効果) |
| 座を跨ぐ | Intent が消える(守り) |
| 座から離れて終わる | 防御(守り) |
却下した案
| 案 | 却下理由 |
|---|---|
| 帯を維持する | 白紙化と内外判定を失った帯は、幅が「跨ぎ判定の緩さ」しか意味しなくなる。帯の位置と幅で敵を作り分けるという ADR-0002 の最大の利点が、その時点で失われている |
| 跨いだ回数ではなく、跨いだときのページ効果で Intent を削る | カード設計で調整できる余地は生まれるが、跨ぐという移動そのものに意味を持たせるほうがルールが軽い。ページ効果による追加の削りは拡張余地として残す |
| Intent を削らず、跨ぐと敵にダメージが入るだけにする | 防御手段が距離だけになり、往復の動機が「攻撃したいから」だけになる。往復が戦闘の形にならず、柱1 の数直線が攻撃の発動条件に退化する |
| 跨ぎを攻撃の発動条件にする(ADR-0002 の「間合いに踏み込まずに斬ることはできない」を一点に持ち込む) | 銘が極端なデッキが、敵を一切殴れなくなる。 座を跨ぐには座を挟む2つの銘が要り、極端なデッキではその往復距離が歩を超える。座 42・歩 40 で手札が 5, 8, 75, 78 なら、42→78 は 36 歩かかるうえ座を挟まず、78→5 は 73 歩で届かない。1回も跨げず、1点も入らない。 帯には幅があったので踏み込めたが、一点は跨ぐしかないため、旧仕様の原則をそのまま移すと成立しない |
| 跨ぎで減らせる Intent に1ターンあたりの上限を設ける | 銘が密集したデッキの跨ぎ効率を直接切れるが、「なぜ2個までなのか」に説明がつかず、ルールを1本増やす方向になる。エスカレーションが Intent 個数を増やすことで同じ問題を時間軸で解く |
| エスカレーションで攻撃力を上げる(ADR-0001 以来の形) | Intent 個数と跨ぎ回数を同じ次元で競わせたほうが、プレイヤーが「あと何回跨げば足りるか」を数えられる。攻撃力の上昇は数えられない |
影響
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攻めと守りが、1本の歩の上で3方向に競合するようになった。 移動量を大きく取れば攻撃が伸び、跨げば Intent が消え、離れれば防御が増える。どれも同じ予算から払う
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銘の分布が、そのままビルドの性格になった。
デッキ 移動量 跨ぎ 帰結 銘が密集 小さい 何度もできる 無傷だが火力が出ない(耐久) 銘が極端 大きい ほとんどできない 殴られるが1枚が重い(速攻) 跨ぎを攻撃の条件にしていたら、極端デッキは殴られたうえに火力も出ない一方的な弱デッキだった。分離したことで、はじめて対等なトレードオフになった
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敵の個性は「座をどこに置くか」と「Intent を何個、どのカーブで増やすか」で表現する。 帯の幅という自由度を失った代わりに、Intent の個数という数えられる軸を得た
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エスカレーションが Intent を増やし続けるため、耐久側にも期限がある
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柱3(振り子)が失われた。防御が方向に依存しなくなり、上へ逃げても下へ逃げても同じだけ守れる
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「間合い」「帯」「軽減率」という用語が消え、「Intent」「跨ぐ」が入った
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敵の類型(正面型・拘束型・広域型など)は帯の置き方で定義されていたため、全面的に定義し直した