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進行と経済

本ドキュメントはラン全体の資源の流れを定義する。個別のルールは バトルシステム と マップシステム を参照。 具体的な数値は バランス。

4つの資源​

資源供給源消費先特性
HP歴史マス/哲学マス/古物商/希少なページ効果被弾のみ戦闘中は増えない。ラン消耗資源
通貨歴史マス/神話マス古物商減る一方の使い切り
ページ歴史マス/神話マス/古物商破る(永久除去)増える。減るのはプレイヤーが選んだときだけ
恒久アビリティ哲学マス/綻びの段階報酬/破却効果—一方向にしか増えない

歩は資源だが、ラン単位では流れない。 毎ターン全回復する使い切りであり、増えるのは恒久的な強化(綻びの段階報酬・歩の回復量を増やす破却効果)によってのみである。

「歩の回復量を増やす」と「使い切らなかった歩を持ち越す」は別の作用である(バランス)。前者は毎ターンの予算そのものを上げ、後者は余らせたぶんを次のターンへ運ぶ。

HPの経済​

HPはこのゲームで最も逼迫する資源である。 戦闘中は一切増えず、被弾でのみ減る(ADR-0022)。

なぜ「被弾のみ」が逼迫を生むのか​

攻めることに恒久コストはない(ADR-0022)。その代わり、HPが減る経路は1つに絞られている。

エスカレーションで Intent の個数が増える
↓
歩で跨げる回数が追いつかなくなる
↓
消せなかった Intent が防御を貫いてHPを削る

HPの消費量は、そのまま「戦闘を長引かせた量」である。 速く倒すか、跨ぎ回数を増やすか(=銘の分布を整えるか)のどちらかでしか節約できない。

供給側​

供給源量条件
歴史マス突破中戦闘に勝つこと
哲学マス大恒久アビリティを諦めること
古物商可変通貨を払うこと(ページを諦めること)
HPを回復する作用を持つページ小希少なページを引き当てること

設計意図​

HP回復の主要な供給源を「歴史マス」に置いたことが、このゲームの進行設計の中心である。

歴史=実際に生きた年を取り戻す=生を取り戻す、という物語とメカニクスの一致がここにある。経緯は ADR-0008 と ADR-0029。

ページの経済​

デッキは増える。減るのは、プレイヤーが破ったときだけである。

増える: 歴史/神話/古物商での獲得
減る: 破る(永久除去)
変わる: ペンで白紙の面を埋める/書かれている面を強化する

敵はページをデッキから永久に除去しない(ADR-0033)。白紙化はページの発動面を一時的に奪うだけで、デッキの枚数にも構成にも影響しない。したがって「デッキが劣化する」という外からの圧は存在しない。

代わりに、デッキが痩せるのは常にプレイヤー自身の選択の結果である。 破却効果と綻びが欲しければ、そのページを永久に手放すしかない。これが面白さの核2そのものである(デザインピラー 柱4)。

銘の広がりが跨ぎ回数を決める​

座を跨ぐには、座を挟む2つの銘が要る。 したがってデッキの銘の分布は、火力より先に跨ぎ回数を決めている。

デッキの形供給源帰結
銘が中くらいに集まる歴史1往復が安く、何度も跨げる。ただし移動量が細切れで火力が出ない = 耐久ビルド
銘が両極端に散る神話往復距離が歩を超えて跨げない。ただし1枚の移動量が大きい = 速攻ビルド
片側の極端に偏る神話に寄せすぎ座を挟めず跨げないうえ、刻の可動域も片側に限られる = 事故

これがルート選択の実質的な意味である(ADR-0029)。神話に寄せても敵は殴れるので詰みではないが、守れないうえに回復もない。短期決戦を選ばされる。

面を埋めることの価値​

配布されるページは片面しか書かれていない(ADR-0025)。ペンで白紙の面を埋めると、そのページは数直線のどちら側からでも切れるようになる。

この価値は銘の位置によって大きく違う。

銘片面のままの脆さペンの価値
極端(神話)低い。銘 5 はほぼ常に過去面、銘 78 はほぼ常に未来面で発動する小さい
中くらい(歴史)高い。 刻次第で発動面が切り替わり、死に札になる大きい

「ペンで書き込む」はステージ1回しかなく、ラン全体でも十数回である。その回数を、耐久ビルドの中核である歴史ページに投じるかどうかが、デッキビルドの中心的な判断になる。

綻びの経済​

綻びはプレイヤーが自発的に払う唯一の攻撃的資源である。

増やす手段ペンで書き込む(固定量)/ページを破る(|銘 − 刻| × 綻び倍率 年)
減らす手段存在しない
得られるもの敵への全ダメージ倍率/突破ライン到達による勝利/一定年数ごとの恒久報酬
リスクなし。代償は「そのページを二度と使えないこと」

綻びの量は、いまの刻から焼く年までの距離と、そのページ固有の倍率で決まる(ADR-0027)。したがって デッキの銘の広がりと、抱えているページの倍率が、ラン全体で焼ける総量を決める。

破る回数がビルドの分岐点になる​

「破る」は1ステージ1回しかない。 突破ラインへ到達するには3〜4回が要る(バランス R5)ため、標準のデッキでは綻び勝利に届かない。

回数を増やすのは破る回数の上限を上げる作用であり、それを積むにはデッキの枠を使う。綻び勝利をラン単位で有限にしているのは、この枠の奪い合いである。

通貨の経済​

  • 供給: 歴史マス・神話マスの突破報酬
  • 消費: 古物商でのページ購入・HP購入

通貨は「戦闘に勝った回数」の関数であり、ルート選択によって大きくは変わらない。1ラン分の収入では古物商に1〜2回しか寄れず、使い切れる量しか入らない。 したがって通貨の判断は、古物商でのページとHPの二択に集約される(マップシステム)。

恒久アビリティ​

哲学マスでのみ獲得できる、ラン中永続の強化。HP回復とのトレードオフで取得する。全6種で、効果量は バランス が持つ。

アビリティ効かせどころ
HP上限の上昇消耗戦への耐性
寿命の延長数直線の天井が上がる。銘が寿命上限を超えていて使えなかったページが解禁される(ADR-0019)
マップスキャン距離の上昇計画可能性への投資
毎ターンの歩の増加1ターンに跨げる回数が増える。エスカレーションへの直接的な対抗手段
手札上限の増加温存できる幅が広がる
毎ターン開始時の防御消せなかった Intent への底上げ

上3つはラン全体の余裕を、下3つは1ターンの中の厚みを増やす。 全種を並べて選ばせるのではなく、未取得のものから3種をランダムに提示する。 狙った方向へ寄せられないことが普通に起きることが、このマスの緊張である。

未取得が3種を下回ったときは、残っている全てを提示する。 全6種しかないため、4種を取得した時点で必ずこうなる。未取得が0種になったら、アビリティは取得できない — 哲学マスに残るのはHP回復だけである。

ランを通した成長の形​

序盤
初期デッキの銘が開始位置の周辺に固まっている
片面しか書かれていないページばかり
→ 近場を細かく動くしかない。座が遠い敵は跨げず、殴られながら位置を作る

中盤
歴史で中くらいの銘を集めれば跨げる体に、神話で両極端を集めれば1撃が重くなる
ペンで中くらいの銘の面を埋め、刻がどこにあっても切れる札を増やす
→ ビルドの方向(耐久/速攻/破り)が定まる

終盤
綻びの累積で攻撃倍率が乗り、破却効果が積み上がっている
破ったぶんデッキは薄く、手札の選択肢は減っている
→ 強く、そして薄い。1枚あたりの判断が最も重い時期

この弧は追加ルールなしに、既存のルールの組み合わせから自然に出てくる。 ラン1周は 30〜45分を想定しており、層数はこの所要時間から逆算されている(バランス)。

関連​

Implementation Notes​