ページカタログ
本ドキュメントはページ(カード)の設計指針を定義する。効果の表現方法は 効果システム、個々のページの数値は
data/側のデータとして持つ(データの契約)。 用語の正式な定義は 用語集。
このゲームはルールを薄く保ち、面白さをページの効果で作る。 ここが設計の主戦場である。
ページの構成要素
1枚のページは以下を持つ。
| 要素 | 説明 |
|---|---|
| 銘 | そのページが表す人生の一場面の年齢。0 〜。寿命上限を超えうる(超えているページはプレイできない。ADR-0019) |
| 未来面 | 銘 > 刻 のときに発動する。敵への攻撃が傾向(制約ではない。ADR-0037) |
| 過去面 | 銘 < 刻 のときに発動する。自己バフ・ユーティリティが傾向(過去面が敵HPへの作用を持ってもよい。ADR-0037) |
| 綻び倍率 | 破ったときの綻びに掛かる係数(ADR-0027) |
| 破却効果 | 「破る」で除去されたときに得られる、このラン中ずっと持続する効果 |
| ペン強化 | 書かれている面にペンを入れると、その面の作用列が丸ごと、あらかじめ定義された別の作用列に差し替わる。差し替え後の列は面ごとに1つだけ定義され、プレイヤーは選べず、使う前から見えている(各面につき1回まで)。表現方法は効果システム#ペン強化、決定の背景はADR-0038 |
| 出自 | 初期デッキ/歴史/神話/古物商のいずれか |
| プレイ後の行き先 | 捨て札/除外(ステージ)/除外(ラン)(効果システム) |
| デッキ内上限枚数 | この定義のページをデッキに何枚まで持てるか |
| 出現条件 | 報酬・古物商の抽選プールに現れるための条件 |
面はどちらか一方だけが書かれている
配布されるページは、未来面か過去面のどちらか一方だけが記入された状態で手に入る(ADR-0025)。
- 発動する側の面が白紙のページはプレイできない(歩も消費せず、刻も動かない)
- 両面とも白紙のページを白紙ページと呼ぶ。プレイできないが、ペンで書き込むことも破ることもできる
- ペンで書き込めば、白紙の面を埋められる。 埋めたページは数直線のどちら側からでも切れるようになる
白紙の面に何が書かれるかは、あらかじめ見えている
白紙の面にも、書き込んだときに現れる効果が定義されている。 プレイヤーは「このページにペンを使うと何が手に入るか」を知ったうえで、限られたペンの回数をどこに使うかを決める(ADR-0025)。
したがって白紙の面は「不明」ではなく「未取得」である。 両面が白紙のページですら、埋めれば何になるかが分かっているため、破る対象としてではなく投資先として評価できる。 ペンの回数が有限であることが、この評価を毎回意味のある判断にしている。
銘 = 刻 のときは、両面が書かれていれば過去面 → 未来面の順に両方発動する。
設計の原則
原則1:両方向に意味を持たせる
片方の面が「あってもなくても同じ」なページを作らない。 白紙の面を埋める判断が、そのページの性格を変えるものであること。
配布時点でどちらの面が書かれているかは、そのページの役割の宣言である。未来面だけが書かれた高い銘の神話ページは「登って斬るための札」であり、そこに過去面を書き込むことは「天井から降りるときにも使える札に作り変える」ことを意味する。
極端な銘のページは、面判定が安定している。 銘 5 はほぼ常に 銘 < 刻 なので過去面、銘 78 はほぼ常に 銘 > 刻 なので未来面で発動する。片面しか書かれていなくても、たいてい出せる。
中くらいの銘のページは、刻次第で発動面が切り替わる。 だから片面しかないと死にやすい。ペンで面を埋める価値が最も高いのは、中くらいの銘のページである。
原則2:移動そのものにコストがある
どのページも、プレイすれば |銘 − 刻| の歩を払う。これは全ページ共通の基礎であり、面の効果とは別に必ず発生する。
したがって面の効果は「歩を払ったうえで何が起きるか」として設計する。歩を払わずに移動する効果は、柱5 の否定になるため作らない。
原則3:銘の位置が効果の性格を決める
銘が座から遠いページは「1回の移動が重いが、その1回が強い」。銘が座の近くにあるページは「安く何度も動けるが、1回は軽い」。銘は効果の一部であり、後から自由に付け替えてよい飾りではない。
「中くらいの銘のページは弱く、何枚も打てる」「極端な銘のページは強く、1枚で歩を使い切る」という関係を維持する。 これがラン後半に「弱い札を並べても通用しなくなる」という手触りを作る。
この関係が、報酬の配り方も決めている。 難易度の高い神話マスが両極端の銘を、通常難易度の歴史マスが中くらいの銘を配る(ADR-0029)。強さの軸と報酬の軸は、必ず揃えること。
原則4:綻び倍率と喪失の痛みを一致させる
綻び倍率が高いページは、それ自体が手放して痛いページでなければならない。
綻びを上げること自体に危険はなく、代償はそのページを失うことだけである(ADR-0027)。したがって「弱いのに倍率が高いページ」は、破るだけで無条件に得な札になり、柱4 のジレンマが消える。
| ページの強さ | 綻び倍率 | 結果 |
|---|---|---|
| 強い | 高い | 正しい。 「勝ち筋を捨てて、別の勝ち筋を買う」 |
| 強い | 低い | 許容。破る理由が薄い、抱え続ける札 |
| 弱い | 低い | 許容。デッキの厚みを作る札 |
| 弱い | 高い | 作らない。 無条件のご褒美になる |
効果の表現
効果とは状態変数への作用の列であり、その表現方法は 効果システム が持つ(ADR-0030)。ページを設計するときに書くのは、作用の列そのものである。
よく使う作用の組み合わせに名前を付けない(ADR-0035)。分類が必要になった時点で付ける。
プロトタイプで実装するページの総数は確定している(バランス#ページ総数の目標(ユニーク定義数))。
プロトタイプで使う作用の範囲
作用が動かせないものは次の5つだけである。 いずれも既存ルール由来であり、それ以外(敵HP・防御・HP・歩・通貨・ドロー等の領域の移動・各種上限・加算補正・掛け算の補正など)は全て使ってよい。
| # | 動かせないもの | 出典 |
|---|---|---|
| 1 | 累計量 | 効果システム「累計量は作用の対象にならない」 |
| 2 | 刻 | 原則2:移動そのものにコストがある(歩を払わずに移動することになる) |
| 3 | 綻び | バトルシステム「綻び」(増加要因はペンと破るのみ) |
| 4 | 面の記入状態 | ADR-0033(敵の白紙化専用) |
| 5 | 他ページの銘・内部フラグ | どちらも代入でしか動かせず、代入は次の理由でプロトタイプの初期のページ群では使わない |
「抑制」「代入」「領域への追加(生成・複製)」は、プロトタイプの初期のページ群では使わない。 理由は、まず例外の無い状態で検証基準を観測するためである。
領域の移動(ドロー等)は使ってよい。数値の目安は バランス#ページの作用 を参照。
未来面と過去面の役割
未来面と過去面に、触れてよい変数の制約は無い。 以下は傾向であり、ルールではない(ADR-0037)。
| 面 | 傾向 |
|---|---|
| 未来面 | 敵への攻撃が多い |
| 過去面 | 自己バフ・ユーティリティが多い |
過去面が敵HPへの作用を持ってもよい。 例: 過去面「敵HP −6、防御 +4」。
降りるターンは攻撃が薄くなりやすい(銘 > 刻 の未来面のほうが敵への攻撃を持ちやすい傾向のため。制約ではないので必ずそうなるとは限らない)。過去面の効果は、殴らなかったターンの代金として設計するという指針は、傾向の範囲で残す — このターンを厚くするだけの平坦な小バフでは、代金として安すぎる。
ビルドの分岐を担う2つの参照元
移動量に比例する攻撃と、跨ぎ回数に比例する攻撃が、ビルドの分岐を担う。 前者は1回の移動を大きく取るほど伸び、後者は細かく往復するほど伸びる。同じ歩の使い方が、どちらを積んだかで別の意味を持つ。
攻撃は、跨いだかどうかに関わらず発動する(ADR-0024)。
ステージ内特殊操作の回数を増やす効果
ステージ内特殊操作の回数を増やす効果が、デッキビルドの中心にある。 「ペンで書き込む」「破る」は基本1回ずつだが、これらを積めば破りを重ねるビルドが成立する(バトルシステム)。綻び勝利へ届く唯一の経路がここである。
破却効果
「破る」で除去されたページが与える効果を破却効果と呼ぶ。 その正体は繰り返し範囲がランの継続作用であり(効果システム)、他の継続作用と同じ書き方で表現する。ページを永久に失う対価として、以降の戦闘の形を変える強さを持たせる。
既定では、効果量は距離に比例して強くなる。 式と係数は バランス#破却効果 を参照。方向は関係ない。これは既定(傾向)であり、ページごとに別の伸び方を定義してよい(例: 「破る回数 +1」のような整数を距離で伸ばさない、など)。同じ距離ぶんの綻びも、そのページの綻び倍率を掛けて同時に負う。
| 破る位置 | 綻び | 破却効果 |
|---|---|---|
| 刻のすぐ近く | ほぼ 0 | 基礎値のみ |
| 刻から遠く(過去でも未来でも) | 距離 × 倍率 | 大きく強化される |
破るとは距離を賭ける行為である。 近くを焼けば安く弱く、遠くを焼けば高く強い。したがってページを設計するときは、基礎値だけを見て強さを判断しない。
歩の回復量を増やす破却効果が、ラン全体の成長を担う。 歩が増えるほど1ターンに跨げる回数が増え、エスカレーションに追いつけるようになる。
白紙ページを破ったときは、綻びだけが上がり破却効果は得られない。
銘の分布設計
刻はランを通して連続する。ページの銘の分布は、プレイヤーが数直線上のどこで戦えるかを直接決める。
| 出自 | 銘の分布 | 実質的な役割 |
|---|---|---|
| 初期デッキ | ラン開始時の刻の周辺に集中 | 序盤は近場を細かく動くしかない(記憶喪失の設定を反映) |
| 歴史ページ | 中くらいの銘(実際に生きた、ありふれた年) | 安く何度も動ける = 跨ぎの足場。ただし刻次第で発動面が切り替わる |
| 神話ページ | 両極端の銘(幼少期の神話/ありえない未来) | 1枚の移動量が大きい = 火力。ただし往復に歩が足りず跨げない |
| 古物商 | 全域から | 通貨で穴を埋める |
初期デッキの構成は確定している。 枚数・銘のレンジ・面の内訳は バランス#銘の分布 を参照。
報酬の軸は、数直線上の高さではなく中心からの距離である(ADR-0029)。強さが銘の極端さで決まる以上、難しいマスほど極端な銘を配らなければ報酬が釣り合わない。
英雄譚は必ず出自と結末を語り、途中の平凡な日々を語らない。 幼少期の神話化された記憶も、決して生きないありえない未来も、どちらも「語られるだけで、誰も確かめられない年」である。
この軸が、そのままルート選択をビルド選択にしている(進行と経済)。
「歴史ページ=過去面で切る札」ではないことに注意。 どちらの面が発動するかは銘と刻の相対関係で決まるため、刻が
55まで上がっていれば銘40の歴史ページは過去面で発動する(過去面が書かれていれば)。この可変性はバグではなく、このゲームの中心的な面白さである。
分布設計で避けるべきこと
- 中くらいの銘のレンジが狭すぎる — 座の周辺に密集して極端に安く跨げてしまい、耐久ビルドが無傷で籠城できる
- 極端な銘が中途半端 — 「極端」のつもりの銘が中心に寄りすぎると、跨げてしまって速攻ビルドの代償(守れない)が消え、神話ルートが一方的に得になる
- 銘が疎になりすぎる — 1枚あたりの歩の消費が大きく、1ターンに1〜2枚しか出せない
- 極端な銘(
0付近・寿命付近)の配りすぎ — 床/天井に張り付くプレイが最適解になる - 片面ページが多すぎる — 座の位置によって手札が丸ごと死ぬターンが増え、事故になる
具体的な密度のレンジは バランス を参照。
ページ追加時のチェックリスト
新しいページを設計するとき、以下を全て満たすこと。
- 配布時点でどちらの面が書かれているかが、そのページの役割を宣言している
- 白紙の面を埋めたときに、そのページの使い方が変わる(原則1)
- 歩の消費を打ち消していない(原則2)
- 銘の位置と効果の重さが噛み合っている(原則3)
- 綻び倍率と「そのページを失う痛み」が一致している(原則4)
- 破却効果が「そのページをラン中ずっと失う価値がある」強さになっている
- デザインピラー のどの柱も弱めていない
関連
- 効果システム — 効果を変数と作用でどう表現するか
- バトルシステム — 歩・面・破るの規則
- データの契約 — 定義データの扱い
- ADR-0030 — 効果を状態変数への作用の列とする決定
- ADR-0035 — 効果の入れ物を作用の列に一本化する決定
- ADR-0025 — 面という仕組みの決定
- ADR-0037 — 面に触れてよい変数の制約を置かない決定
- ADR-0038 — ペン強化を作用列の差し替えとして表す決定