用語集
このドキュメントが全用語の一次情報源(Single Source of Truth)。 他の設計ドキュメントで用語の意味が食い違って見える場合は、ここでの定義を正とする。 具体的な数値はここには書かない(→ バランス)。
数直線上の3つの位置
このゲームの盤面には、位置を持つものが3つある。
| 用語 | 誰の位置か |
|---|---|
| 刻 | プレイヤー |
| 銘 | ページ |
| 座 | 敵 |
刻(とき)
数直線上のプレイヤーの現在位置。主人公の年齢を表す。 値域は 0(誕生)から寿命上限まで。寿命上限は固定値ではなく、哲学マスの「寿命の延長」で伸びる(ADR-0019)。
- ページをプレイするたびに、そのページの銘へ更新される(ターン開始時に固定される値ではない)
- ステージをまたいでリセットされない。 ランを通して連続する
- 寿命上限に到達しても敗北にはならない。 その先へ進む手段が無くなるだけである
銘(めい)
ページ固有の値。そのページが表す人生の一場面が、何歳のときのものかを示す。プレイ時点の刻との差分が歩の消費量を決め、大小関係が発動する面を決める。
銘は寿命上限を超えうる。 銘 > 寿命上限 のページは持てるがプレイできない(「起こらなかった壮大な未来」=決して生きない年)。寿命を延ばすと解禁される。
座(ざ)
数直線上の敵の位置。敵は幅を持たない一点として存在する(ADR-0024)。
座は跨ぎの判定基準であり、同時に防御量の基準点でもある。敵によっては毎ターン移動する。
資源
歩(ほ)
1ターンに数直線上を移動できる年数の予算。 ターン開始時に規定量まで回復し、使い切りで持ち越されない(ADR-0022)。
ページを1枚プレイするたびに |刻 − 銘| を消費する。方向は関係ない。 残りの歩で払えないページはプレイできない。
ページの効果によって持ち越せるようになる。 そのターン限りのものも、ラン永続のもの(破却効果)もある。
HP
残りの生。ページのプレイでは減らない。 減るのは敵の攻撃を受けたときだけである。戦闘中は増えず、回復はマップ上の報酬と希少なページ効果のみ。
防御
被弾軽減値。 既定ではターン終了時に |刻 − 座| に比例して得られ、そのターン限りで消える。方向は関係ない。HPとは別の値である。
防御はひとつの数値ではなく、値ごとに消滅契機(被弾1回/ターン終了/ステージ終了/ラン終了)を持つ集まりである。 寿命の短いものから消費される。長い寿命の防御を配れるのはページの効果だけである(効果システム)。
綻び(ほころび)
「ペンで書き込む」「ページを破る」によって蓄積する値。単位は年である。 プレイヤーの自発的な行動でのみ上昇し、減少しない。ステージをまたいでリセットされず、ラン全体を通して累積する。
破ったときの上昇量は |銘 − 刻| × そのページの綻び倍率 である(ADR-0027)。方向は関係ない。刻の真上のページを破っても綻びは上がらない。
綻びは3つの役割を持つ。
| 役割 | 見る値 |
|---|---|
| 敵へ与える全ダメージの倍率 | 累積値 |
| 敵ごとの突破ラインへの到達(=勝利) | そのステージ中の上昇量 |
| 一定の年数区切りごとの恒久的な報酬 | 累積値 |
綻びを上げて払う代償は、そのページを二度と使えないことである。 綻びの値そのものがプレイヤーを脅かすことはない。
ゲーム上の数値名であり、物語上は「因果の不整合(バタフライエフェクト)の蓄積」を表す。
突破ライン
敵ごとに定められた、そのステージ中の綻び上昇量のしきい値。到達するとその敵に勝利する。累積値ではなく相対値である。
ページとデッキ
ページ
プレイヤーが操作するカード。主人公の人生の一場面を表す。固有の銘・綻び倍率と、2つの面を持つ。
面(めん)
ページが持つ未来面と過去面(ADR-0025)。配布時点ではどちらか一方だけが書かれている。
どちらが発動するかは、プレイした瞬間の銘と刻の関係で決まる。プレイヤーは選べない。
| 条件 | 発動する面 |
|---|---|
| 銘 > 刻 | 未来面 |
| 銘 < 刻 | 過去面 |
| 銘 = 刻 | 過去面 → 未来面の順に両方(1ターン1枚まで) |
面の種類による作用対象の制約は無い(ADR-0037)。各面が何に作用しやすいかの傾向は、ページカタログ を参照。
発動する側の面が白紙のページはプレイできない。 歩も消費せず、刻も動かない。
白紙ページ
両面とも書かれていないページ。 プレイできないが、ペンで書き込むことも破ることもできる。
- ペンで書き込む → その面が使えるようになる。何が書かれるかはページごとに決まっており、あらかじめ見えている
- 破る → 綻びは位置と倍率に応じて通常どおり上昇するが、破却効果は得られない
自分紀(じぶんき)
主人公のデッキ全体を指す物語上の呼称。主人公自身の人生を記した本。ラストバトルで英雄が白紙に塗り替える対象でもある(シナリオ)。
山札・手札・捨て札
一般的なカードゲームと同義。ただし手札はターンをまたいで残る(ADR-0026)。
- 毎ターン固定枚数を引く。手札上限に達しているときは引かない
- 捨て札へ送られるのはプレイされたページだけである
- 山札が尽きたら、捨て札をシャッフルして新しい山札とする
引き直し
プレイ可能なページが手札に1枚もないとき、手札を入れ替える救済。 持ち越し制で手札が「いまの刻では出せないページ」で埋まったときのためにある(ADR-0026)。発火条件と回数は バトルシステム。
敵まわり
予兆(よちょう)
ターン開始時に示される、敵の次の行動の予告表示。**Intent 列と、予告される特性(座の移動など)**を含む。プレイヤーがターンを終了した直後に実行される。
Intent(インテント)
敵が持つ「作用の順序付き列」の要素(ADR-0032)。攻撃と白紙化の2種類がある。必ず予告され、跨ぐと列の先頭から1個消える。
プレイヤーが座を1回跨ぐたびに、Intent が1個消える。 消えずに残った攻撃はターン終了時に被弾を、白紙化は対象領域のランダムな1枚の発動面を奪う(下記)。
アーキテクチャ用語の「意図(Intent)」=プレイヤー操作の抽象化とは別の概念である。混同しないこと。
特性(とくせい)
Intent 列に属さない、敵の作用(ADR-0032)。跨いでも消えない。予告の有無は特性ごとに個別に決まる(座の移動は予告される。不動・加速は予告されない)。
座の移動・封鎖・不動・加速・1発ごとの軽減など、敵ごとの個性づけの多くはここに属する(敵の設計)。
跨ぐ(またぐ)
あるページをプレイした際、直前の刻と新しい刻が座を挟むこと。 座の上にちょうど止まった場合は跨いだことにならない。向きは関係ない。
跨ぐと Intent が1個消える。 これは守りの手段であり、攻撃の発動条件ではない(ADR-0024)。座を一度も跨がないターンでも、未来面の攻撃効果は通常どおり敵に入る。
1ターンの跨ぎ回数に上限はない。実際に何回跨げるかは、歩・手札にある座を挟んで交互に並ぶページの枚数・ドローの供給の3つで決まる。
エスカレーション
ステージ内の経過ターン数に応じて、Intent 列が伸びていく仕組み。攻撃力ではなく個数を増やすのは、プレイヤーが「あと何回跨げば足りるか」を数えられるようにするためである(ADR-0024)。エスカレーションの速度そのものは特性である。
このゲームで唯一のタイマーである。
白紙化(はくしか)
敵が、指定した領域(手札/山札/捨て札/合算。Intent ごとに選ぶ)のランダムな1枚の発動面を白紙に戻す Intent(ADR-0033)。跨げば防げる。デッキからページを永久に失わせることはなく、白紙化された面は(手札にあれば)ペンで書き込めば元に戻る。発動すると、対象領域によらずどの面が白紙化されたかが UI で通知される(バトル画面)。
ラストバトル専用システム『白紙化のハッキング』(シナリオ)は名前が重なっているだけの別物である。混同しないこと。
ステージ内特殊操作
手札のページに対して行う「ペンで書き込む」「破る」の2つ。回数と効果量の規則は バトルシステム が持つ。
ペンで書き込む
ページの一方の面を、使えるようにする(白紙の面)か、強化する(書かれている面)操作。 物語上は「記憶の改竄」。
破る
ページを永久にデッキから除去する代わりに、綻びと破却効果を得る操作。 物語上は「その年を永久に失うこと」。
破却効果(はきゃくこうか)
破ったページが与える、そのラン中ずっと持続する効果。 その正体は繰り返し範囲がランの継続作用である。白紙ページを破ったときは得られない。
効果まわり
正式な定義は 効果システム。
作用(さよう)
1つの状態変数に対する1つの操作。 効果の最小単位であり、面はその順序付きの列を持つ。対象変数・演算・基準値・値の寿命・発動タイミング・繰り返し範囲の6項からなる。
効果の単位は作用である(ADR-0030)。よく使う作用の組み合わせに名前を付けない — 分類が必要になった時点で付ける(ADR-0035)。
継続作用(けいぞくさよう)
場に乗り、発動タイミングが来るたびに発動し、繰り返し範囲が尽きると消える作用。 破却効果・補正・遅延ダメージはすべてこれである。
補正(ほせい)
対象変数ごとに存在する、加算と乗算の値。 実効値 = ( 基準値 + Σ加算補正 ) × Π乗算補正 として作用に効く。乗算どうしは掛け合わされ、補正は発動の瞬間に評価される。
累積綻びによる攻撃倍率も、ページ固有の綻び倍率も、この補正の一種である。
累計量(るいけいりょう)
ある期間中の合計。量[スコープ] というスコープ添字を持つ。 スコープは プレイ ⊂ ターン ⊂ ステージ ⊂ ラン。
「累積綻び」は 増えた綻び[ラン]、「そのステージ中の綻び上昇量」は 増えた綻び[ステージ] であり、同じ量の別成分である。
累計量は作用の対象にならない。 現在値を動かせば自動的に積まれる。
プレイ条件
その面でページを出すために満たすべき条件。 満たさない面は、白紙の面と同じくプレイできない(歩も消費せず、刻も動かない)。
条件は作用ではなく面に紐づく。 これによりプレイヤーは、押す前に結果を暗算できる。
マップ用語
マスの種別は4つある。報酬の内容と配置規則は マップシステム が持つ。
| 種別 | 何のマスか | 命名の意味 |
|---|---|---|
| 歴史 | 通常難易度のバトルステージ | 実際に生きた、ありふれた年の回収 |
| 神話 | 難易度の高いバトルステージ | 語られるだけで、誰も確かめられない年 — 幼少期の神話化された記憶と、決して生きないありえない未来 |
| 哲学 | 戦闘を伴わない、恒久アビリティかHP回復を選ぶマス | 生き方そのものを選び直す |
| 古物商 | 戦闘を伴わない、通貨でページかHPを買うマス | 他人の記録を買う |
システム・開発用語
意図(Intent)
アーキテクチャ上の用語。入力デバイスの違いを吸収した、「このページをプレイする」「ターンを終了する」といったデバイス非依存の操作単位。状態層への入口は全てこの型を通る(アーキテクチャ方針)。
敵の予告攻撃(Intent)とは別の概念なので混同しないこと。文脈で紛らわしい場合は、敵側を「敵の Intent」と書く。
イベント(BattleEvent)
状態層が発する「何が起きたか」の記録。表現層はこれを購読して画面を構築する。「どう見せるか」は一切含まない。
ラン
マップ生成からクリア/ゲームオーバーまでの一続きのプレイ。刻・HP・綻び・デッキ・手札・通貨・破却効果はラン単位で連続し、ラン終了時に全て初期化される。
物語用語との対応
ゲームシステム上の数値名と、シナリオ 側のナラティブ用語は意図的に分けている。
| システム上の用語 | 対応する物語上の概念 |
|---|---|
| 刻 | 主人公の年齢/人生の時間軸 |
| 歩 | その日に歩ける距離/気力 |
| HP | 残りの生 |
| 綻び | 因果の不整合(バタフライエフェクト)の蓄積 |
| 白紙の面 | まだ思い出していない/まだ書いていない場面 |
| デッキ | 自分紀(主人公の人生を記した本) |
| 破る | その年を永久に失うこと |
| ペンで書き込む | 記憶の改竄 |